秋の七草の萩の花が咲き、虫の音運ぶ涼しい夜風、すっかり秋です。陽の暮れが急に早くなり、ぐずぐず仕事をしている私はお月さまを眺めながら帰ってきます。
ほのかな優しい月明かりに風情を感じる季節。
ミツバチは天候不順のこの夏のダメージを引きずり、こんなに手間隙かかる年って今までになく、“大忙し”続いています。頑張ってもなかなか成果のでないトホホな状況。ちびまるこちゃんの額にタテ筋がかかっているような心境。
夏の終わりから秋にかけての季節の変わり目は順調な年でも蜂の手入れは難しいのですが、今年は特に気を配っています。一昨年北海道の蜂を全滅させたとも言われる程の恐ろしい、ミツバチに寄生し死滅させるダニがいます。これにとりつかれると次々に巣箱から巣箱に移っていき本当に全滅しかねません。夏の終わりからしっかり対策しないといけません。
蜂屋さんとしては、この世からいなくなってほしいのは、このしつこく厄介者のダニです。ウチの愛犬の持ち芸(持ちギャグ?)のように「こりゃまた失礼いたしました、ガチョーン!」と消え去ってほしい。
8月の千葉県養蜂協会の会議に出席しましたが、今年の養蜂状況の悪さもあり、会長さんが会議が終ってからポロッと、「日本も4・5年するとアメリカのように蜂がいなくなっちゃうんだってよ。」と言われて、「えっ」と思いましたが、この養蜂を取り巻く状況の悪さからすると、あながち嘘とも言えず深刻になってきました。
9月の中旬にフランスで開催される養蜂国際会議に参加したかったのですが、この時期今年はそれどころではなく断念、ザンネン!
私の愛情に応えて蜂達元気モリモリ盛り返してね!
ミツバチはいつもより元気がないのですが、スズメ蜂は今年も獰猛です。それぞれの蜂場でミツバチ襲撃中です。スズメ蜂の天敵見つからず、今のところ“私だけ”と“スズメ蜂VS私”のスゴイ事になっていますが、なんと、不覚にもスズメ蜂に刺されてしまった。
スズメ蜂には絶対刺されない自信アリの20年来の私の自信がガラガラと……..。運動神経の鈍りか、とは思いたくない。すぐにズッキンズッキン痛み出し、背後から襲うとは卑怯者と思いながら、これは病院へ行かなければと急ぎシャワーを浴び病院へ。
「吐き気はしませんか?大丈夫ですか?」とお医者さま、「ワー、すごく赤くなってますよ」と看護師さん、海苔一帖分位もある大きなガーゼに薬を塗りペタッと左臀部に貼られたのでした。「夜に熱が出ませんか?」「化膿止め出しますから大丈夫です」と。ウー情けない、黒いズボンをはいていた私がいけなかった、油断大敵!
今年はついてない。7月には“はがち”に指先を刺されてしまって物凄い痛さで、スズメ蜂の何倍も痛く、しかも長引いて。ちょっと早いけど私の今年を表す漢字は<痛>。年末までには<痛快>にチェンジできるかな?
蜂屋さんなのでミツバチには刺され慣れていますし、痛いのは痛いのですが、ミツバチに刺されても、もうあんまり腫れたりしません。民間療法ですが<蜂針療法>といって、中国の針治療のようなミツバチの毒針を使ってツボに刺していく治療法があります。
自分がミツバチが好きでこの仕事を始めた訳ではなく、父の手助けをしてきたのですがミツバチは苦手でした。アウトドアー派ではなくインドアー派ですし。ホントにずっとミツバチの世話をし続けていても刺される度に嫌でした。
ところがある日仕事中にまたミツバチに刺された時、「私の具合の悪い所を刺してくれてるみたい」と思ったのでした。(例えば、肩とか膝とか指とかを)不覚にもそれは私がミツバチを“嫌い”から“好き”に変わった瞬間でした。そう思うという事は、“ちょっといい奴”かもとミツバチに愛情持っているんだと気付き、それがなければ今蜂屋さんをやっていなかったでしょう。
スズメ蜂には初黒星を付けられ、仕事はうまく廻らずマイナス思考になり、眠りずらい時には気分転換に夜のドライブ。地球に優しい地球分の1のヒトになりましょう、とは思ったけれど、たまにはドライブもしたく、この辺りの海岸線を一巡り。車窓を開け少し潮の香のする夜風を受けながら“ネガティブ”を飛ばしていきます。お供をしてくれたのはCrystal Kayちゃんの最新盤のポップなメロディーと歌声。
忙しいとは言いながら月に1度のカルチャー講座にもしっかり出かけました。半年で1クールの講座で最後の月は京都へのフィールドワークがあり、フィールドワークってまぁ”大人の遠足“みたいなものです。なんと“京都へ日帰り”しちゃうフィールドワーク。<和の空間>というその講座は“日本庭園”を学んでいるんですが(しぶいですね)、元気印のおじさまおばさま方と素晴らしい講師の方と共に<枯山水>などのお庭を鑑賞。(講座の中頃には東京都内の庭園へのフィールドワークもあります)今回は二条城と東福寺。とっても良かったです。冬に少し雪の積もった感じも見てみたいなぁーと思いました。
日本庭園から宇宙や哲学を感じられるようになれるでしょうか。ただただ癒されるだけでOKですが。
「9月初めのの京都はとても暑いです」との講師の先生のお話しでしたが夕方には涼しい位の京都でした。いつもながらご熱心な解説をして下さった先生と、現実忘れさせてくれた素晴らしい1日に感謝!
たまには自分にお土産と、その扇面の歌に魅かれて手にしたのは帯にさす小さなお扇子。
<花の色はうつりにけりないたづらに我が身世にふるながめせしまに>小野小町
こちらでは稲刈りの終った田んぼの畦道に彼岸花が鮮やかに赤く咲き始めました。とっぷりと夜がくれるとピーヒャラピーヒャラ秋祭りへの練習の竹笛や太鼓の音が流れてきます。
神様からの最大の贈り物は<誰にも明日の事はわからない事>だと聞いた事があります、明日はちょっとだけ良い日になるかも!
<星に願いを>という程のロマンティックな事でもなく、私の仕事を見ていたお月様が、「蜂達が元気になりますように」という私の願いに、「心配ない大丈夫だよ」と優しく微笑み返してくれたような………….美しい月の夜。
山に黒い服は禁物です!!!