10.<ハニーケアー>

日に日に鮮やかさを増すあじさい美しき房総となっています。
今年は雨っぽい日が多く、あじさいがルンルンしてるように見えます。雨不足の年にはお花も葉っぱもカラカラパサパサに萎れてしまいますが、今年はとってもキレイ。淡い緑色に淡い色が射し始める感じが好きだなぁー。

アジアを実感するこのムシムシする湿度高い季節。ハチはいくら美しくてもあじさいには目もくれず、栗の木と、とうじの木に飛んで行っています。栗の花はむせるような強い甘い香りを放っています。栗の花によく似たとうじ(地元の人達はこう呼んでいますが正式な名前はなんだろう、椎の木かな?)は房総にたくさんあってこの時期に蜜の入る、数を増したハチ達を元気にしてくれるありがたい木です。ドングリのような実がなります。とにかくミツバチは蜜次第なんです。自然の蜜の恵みが何よりハチを元気にし活躍させてくれます。
人間は何次第?愛・夢・健康・努力・それとも経済力?自身の心次第??

4月5月の分蜂シーズンは少し落ち着いてきましたがまだまだ油断できません。蜂屋さん達は分蜂熱(ぶんぽうねつ)起こしてると云います。人間が素敵な人と出会いカチッと恋愛スイッチが入って恋の微熱状態が続くように、ハチも分蜂熱を持ってしまうとどうにも抑えられません。
その春先からの生命力溢れる勢いの良い時期に新しい女王蜂を誕生させて新しい群を作るのも蜂屋さんの毎年大事な仕事です。“生き物”なので、いつ何が起こるかわかりませんし、働き蜂が何週間何ヶ月の寿命に比べれば女王蜂は何年も生きますが、段々と産卵能力が衰えてくるので新しい王と群を増やしておく必要があります。
同じ卵でも働き蜂は21日間かかって誕生しますが、ローヤルゼリーを大量に与えられた女王蜂は14日で誕生します。新女王が誕生しお天気の良い日に上空でハネムーンに成功すると一人前の女王蜂となり産卵を始めます。

この写真のように与えた巣板だけでは足りなくなって、その脇に天然巣(てんねんず)を作っていれば一目瞭然完成した一群となっています。ハチは働き者の早業で一晩でこういう天然巣を作ってしまうんですよ。メジャーも、ものさしもないのにキッチリカッチリ見事に自ら蜜蝋を分泌して作ってしまう素晴らしい建築家だといつも感心します。芸術的だし!しかも、その六角形には意味があって面積を無駄にせず有効に使い、上から押されても壊れない強度があり、ハニカム構造と云われ人間界の建築にも応用されています。

サザエの貝殻に蜜蝋を溶かしてキャンドルを作りました。煤の出ないほのかに甘い香りのする癒し系キャンドルです。

竹の子の生命力もスゴイです。
震度4とか強い地震があったりすると心配になり蜂の巣箱が倒れていないか見に行きますが、地震で倒れた事は今までにありませんが、毎年巣箱を倒してしまうのは“竹の子”。こんな小さい細い竹の子の上に伸びよう伸びようとする力が巣箱を倒します。この写真よりも、もっと二段重ねの重たい巣箱も倒してしまうので驚きます。

5月に蜂場に現れたのはタヌキ。
仕事の途中に急に雨が降り出し、私の足元をダダダッと何か物体が走って行った。わりと大きかった。何だろうと思っていると2分後位にその走り去った者が来たのと同じ方向からタヌキが。そのタヌキさん私と目が合ってしまい立ちすくむ。きっと夫婦狸で片われを追って来たのでしょう。でも私を見て「ヤバイ!」と思ったそのタヌキはUターンして戻って行ってしまいました。その2分後位に最初に足元を走り去ったタヌキが、元来た方へまたまた私の足元をすんごいスピードで走って行きました。狸さんたち仲いいです。

6月3日の深夜素晴らしいTV番組を見ました。
自営業は何だかたまにお休みがあっても何かしら仕事が入ってしまいダラダラと毎日仕事になってしまい休めないので、月に一度何処かへ消える日を作っています。東京の某大学で、ある日本文化のカルチャー講座を受けていて、全てを忘れる日にしていますが、その日も受講してから急いで銀座で用事を済ませ、帰宅してちょっと休んでいたのに、うたた寝してしまって気がつくと日付けが変わっていて点けっぱなしになってしまっていたテレビ画面に素晴らしいお話が展開していました。
「チェンジメーカー」というNHKの番組で<ハニーケアー・アフリカ>というアフリカのケニアで、養蜂の力で貧しい農民が経済力を持ち子供達の夢まで叶えているという素晴らしいお話。ただ援助するのではなく、生き生きと尊厳を持って働ける自立した農民に導いていく取り組みに感銘を受けました。
世界は広い、悲惨な出来事もありますが、素晴らしい人がいて素晴らしい事が起きているんですね。アフリカ・ケニアのその活動している素晴らしい青年が教えてくれた格言が、「人に魚をあげれば1日で食べてしまうが、魚の捕り方を教えれば一生食べていかれる」。トレ・トレ・トレビアン!!!
私が真似してできるとしたら<ハニーケアー・ガールズ>かな!NHKさんありがとうです。

房総はもう夏めいてきて仕事をし始めるとほどなく汗がツーッと体を流れ落ちていきます。すごく疲れた後とすごく緊張した後になぜかシュワシュワしたのみ物が飲みたくなります。ペリエとか天然炭酸水をそのままでも良いですが、ハチミツとレモンなど柑橘類をギュッと絞って入れるとおいしいです。レシピとまでいかないレシピかな。
レシピとまでいかないレシピとしては、果物を(なんでもバナナとかリンゴとかちょっと傷みかけの物でもOK)を適当に切って、フライパンでバターとかオリーブオイルとかで炒めてハチミツかけるだけ、シナモンパウダーをプラスしてもいいですね。(それも面倒な方はレンジでチンしてハチミツかけるだけ)
どんなパンでもバゲットでもクリームチーズを塗ってその上にハチミツを塗るだけ。バターにハチミツは定番でおいしいですが、クリームチーズとハチミツは私のとってもオススメ。蒸し暑さに体調くずしやすいこの時期、爽やかな甘さどうぞ召し上がれ!

6.16 れいこ

父の蜂ひげ写真が表紙の<房総マガジン>という雑誌が発売されました。中ほどに私のインタビューも載っています。
小さいお子様がいらっしゃる方でしたらワンダーランド4月号にもウチの蜂達が登場しています。

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