18.<越春>

若葉の若緑色に染まってきている山を、うす紫色に流れ落ちる滝のように、山藤のお花が美しい南房総です。藤も蜜をふいてくれ蜂達が盛んに飛んで行っています。ミツバチも蜂屋さんも嬉しいかぎりです。

今年ほど山藤の見事な年はないなーと、水の恵みのせいかもしれません。藤と同じようなうす紫に高貴な雰囲気漂う“桐”のお花も今とても綺麗です。

日本に雨季到来?と思うほどに4月はとても雨が多く、寒さも続きました。春の嵐が八重桜を散らし、ずっと咲いていてほしかったチューリップもあっけなく散らし、晴耕雨読とは行かず雨ニモマケズ風ニモマケズ春の嵐ニハちょっぴりマケ、雨雲行き過ぎるのを待ちながら仕事をすすめポリネーション用の蜂を仕上げました。

4月9日(金)八千代市の梨畑へ大きなトラックで133群の蜂を運びました。梨のお花の咲き具合をみて、八千代市梨業組合さんから、「何日に持ってきてください」と連絡が入ると届けます。例年は10日程で、ハチを引き揚げて下さいと連絡が入りますが、今年は雨続きでハチの働ける日があまりなく、例年より遅く4月24日(土)に蜂達を迎えに行きました。
千葉県八千代市には沢山梨畑があり梨農家さんが結構いらっしゃいます。もう長年のおつきあいです。蜂の巣箱の積み込みが終わりロープをしっかりかけ、帰り際に「いい梨がなるようお祈りしてますね」と言うと、「こればっかりはねー」とこれからの天候を心配されていました。一番怖いのはヒョウが降る事だそうです。

4月後半もこちらは悪天候はそのままで、ちょっと油断していたら、またもやハチが餓死寸前となっていました。いくら寒くても春なのでそれなりにハチの産卵は進みその数が増していて、ハチがいっぱいの良い蜂群の順から餓死の危機にさらされます。ハチ箱の蓋を開けるとハチ達は超スローモーションのもうろうとした動きで、いくらイケメンでもいくらダンディーでも、働かないオス蜂は巣箱から追い出されてしまいます。すぐに蜜巣を補充してあげて翌日見るとシャッキーンとしキビキビ働いていました。ミツバチは本当に蜜次第ですね。(私も補充したいモノだらけ!)

4月30日(金)最後に東北に帰る蜂屋さんを見送りました。夕方ハチ達が巣箱に帰り入ったらスモン(ハチの出入り口)を閉め、山から運び大型トラックに積み込みます。そのお手伝いをし、「気を付けてね、眠くなったらサービスエリアで寝た方がいいよ」と声をかけ、何しろ半日はかかる長旅ですし生き物を積んでいるので心配です。でも高速道路が込んでいる時はサービスエリアにも入れないそうです。大丈夫かなと思っていると、翌朝「朝9時に着いて山にハチも下ろしました」と電話がはいり、ひと安心。東北地方今年は天候に恵まれ蜜が入りますように!

ゴールデンウィークになるととたんに良いお天気となり一気に初夏です。海岸を通ったらウィンドサーフィンの若者達が沢山いてすっかりリゾートの雰囲気になっていました。

一気に暑くなり、徐々にやって来てほしい春が急にまとまってやって来て仕事が追いつかず、ミツバチは冬を越す“越冬”が大変ですが、私は春を乗り越える“越春”が超大変。
<春の力無限大∞>どこかで聞いたようなフレーズだけれど歌合戦ではなく、無限大な春パワーと春に勢いついたミツバチパワーに、蜂屋さんの腕比べシ-ズンなのです。
今年はいつもの年よりも急激な春の訪れで、なんだかクラクラを通りこしヘロヘロです。ウルトラマンの胸のボタンがピコピコ点滅している感じになってきました。「シュワッチ」と、どこかの☆に帰る事もできず、ローヤルゼリーにハチミツを混ぜたローヤルハニーをいっぱい飲んでがんばっています。

その春の時期にする仕事の一つがこの女王蜂を誕生させる事です。私がMVPと思った女王蜂の卵からかえった2・3日目の幼虫をプラスチックの人工王台に入れてあげて、良い女王をたくさん増やしていく訳です。ちょっとピンボケですが下の写真のは自然に巣箱の中に女王を誕生させようとしているミツバチ達がつっくた天然の王台です、この中に女王候補がいるんです。

エンドレスに仕事が続き、東北の蜂屋さん達が無事帰った頃、気が抜けるのか私のパワーも少々ダウン気味で蜂場で仕事中、「ああー、限界!」と水分補給しながら、変な虫がいないかちょっと見て(虫など寄り付く私ではないですが、はい)草むらにドーンと仰向けに寝転び、空を眺めています。何も考えずただ流れ行く雲を見ていると、小さな悩みも大きな悩みも忘れ無心となり心が空っぽになるようです。心の日光消毒!もちろん費用フリーのオススメ癒され法。

5月8日(土)NHK教育テレビ<時々迷迷>(ときどきまよまよ)という小学生向けの道徳番組の収録が当店の店頭で行われました。ハチミツ屋さんの前を通りかかりスズメバチの巣を見て感動する、というシーンだそうです。片桐はいりさんも出演されているそうです。6月23日(水)午前10:00~10:15の放送です。ぜひご覧ください、私も勉強させてもらおう!(再放送は6/25(金)6/30(水)7/2(金)同時刻)
2才から子役さんをやっているという、とても礼儀正しくさわやかな可愛い2人の少年子役さん達とても頑張っていました。

初夏めいた当方の庭には“トチ”や“ニセアカシア”や“ミカン”の甘い香りいっぱいです。
この“トチ”のお花が咲くと青森十和田の山を思い出します。母の話によると、お相撲の5月場所が終ると十和田の山に入りテントを3棟張り、デンキもガスもない生活をし、3週間のトチ蜜採りとローヤルゼリー採りをしたそうです。湿気の少ないブナの枝を拾ってきて煮炊きに使い、結構火力があって、おいしいご飯やお料理が出来たそうです。エコ燃料ですね。
私の記憶に一番のこっているのはタケノコ採りと近くの川での洗濯です。

一緒に仕事をしていた伯父と東北地方の細くておいしいタケノコを採りにいったのですが竹林の中でまったく方向が判らなくなってしまい伯父の姿も見えず、このまま死んじゃうとすごく恐怖でした。タコノコ採りで亡くなる方のニュースを聞くとリアルに実感わかります。それがトラウマなのか生来なのか唯一他人に負けない自身あるのは私の“方向音痴”です。

もちろん水道などなく洗濯は近くの小川で。幼く純真であった私は川に行く度に、川上から桃太郎の入った大きな桃がドンブラコドンブラコと流れて来るのではと思っていたのでした、が、そんなステキな桃は流れて来ず何枚かの洗濯物が流れていったのでした。
ワラビを採ったりカッコーカッコーとカッコーの鳴き声こだましていく深い十和田の山の思い出が色々とあります。

こちらでは水を満々とたたえた水田に田植えもすっかり終わりカエルの合唱も始まってきました。

今、蜂場にはスズメ蜂の女王が大きな羽音をたて飛んできています。一匹捕まえると、大きな巣を1つ退治した事になりますし、個人的にリベンジに燃え、捕えている私です。
5月の心地好い風がサワサワッと吹くと、雑草のようだけれどとっても可憐なハルジョオンがゆらゆら囁くように揺れ、ひととき穏やかさを感じさせてくれる蜂場となっています。

5.20  れいこ

牛さん豚さんミツバチに生まれ変わったら私の所へおいで、むごい事がもうおきませんように。畜産農家さんガンバ!です。

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